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命をかけた2度の交尾|オオカマキリのオスが見せた本能と執念の記録

こんにちは

オオカマキリのメスだけの飼育、寂しいところに

家の玄関の網戸、夜に出会った1匹のオオカマキリのオス

との出会い。

"ハリガネムシを排出した後も交尾に挑むオオカマキリのオス | Male Tenodera aridifolia mantis attempting to mate after expelling a horsehair worm parasite"
寄生虫(ハリガネムシ)を排出した後も、交尾に挑み続けたオス。命の限界に立ちながらも、繁殖本能は失われませんでした。

「寄生虫を追い出し、それでもなお交尾に挑んだ一匹のオス。
その執念と本能を、2度にわたって目撃しました。」

ハリガネムシを排出した後の回復

飼育中のオオカマキリのメスが2匹いました。

1匹は、産卵したばかりのおそらく無精卵、もう1匹は、お腹の大きいメスでした。

それぞれに、オスを近づけ交尾アタック。無理でした

その上、ケースを見たらハリガネムシがいてオスのケースでした。絶望しました。

このオスは、元気がよく威嚇攻撃もするし身体つきもしっかりしてました。

しかし、1パーセントの希望を抱いて次の日の夕方に交尾アタックをさせてみましたら

なんと、生殖器をうねうねさせていましたので

オスの子孫繁栄への意欲を、沸き起こそうと軽く接触させ

その日の夜に、本格的な2度目の交尾アタックをこころみました。


"交尾の相手となった左脚を失ったオオカマキリのメス | Female mantis with injured left leg, preparing for mating"
今回の交尾の相手となったメス。左脚が損傷していましたが、食欲旺盛で力強く生きていました。

今回、交尾アタックの相手のオオカマキリのメスです。

捕獲時に、真ん中の向かって左足が半分ちぎれて残りが黒く

変色して壊死していましたが、元気にエサを食べたり

力もありました。

最初の交尾──長時間の静寂と緊張

お腹の大きいメスの背中に強引に乗せて、カマで掴ませました。

すると、しっかりと掴み生殖器を接続させようと頑張っていました。

"交尾アタックに成功したオオカマキリのシルエット | Silhouette of successful mating between male and female Tenodera aridifolia"
初回の交尾が成功した瞬間。背後の影が幻想的で、緊張と感動の時間が静かに流れました。

これは、交尾アタック成功したシーンです。

後ろの影のシルエットと感動しました。


"オオカマキリの生殖器が接続された交尾シーンのマクロ写真 | Macro photo showing connected genitalia of mating mantises"
生殖器が確実に接続された交尾中の様子。約2時間に及ぶ長い交尾の中で、生命のリズムが伝わってきます。

しっかりと生殖器が、接続されています。

2時間ほどの、交尾時間でした。

カマキリの繁殖の仕組みや、交尾後に何が起こるのかは
「カマキリの産卵と繁殖のメカニズム」 を読むとさらに理解が深まります。

2度目の交尾へ、休息1時間半の後

"交尾を終えた後もメスを離さないオオカマキリのオス | Male mantis holding the female after mating to prevent rivals"
交尾後も1時間半ほどメスから離れず、体を震わせてメスの動きを制止。メイトガーディング行動の一例です。

交尾を終えて、逃げるのかと思いきや

なんと、メスが動こうとするとカマと身体を振動させて

メスをジッとさせて、1時間半ほど離れませんでした。


"2度目の交尾アタックを行うオオカマキリのシルエット | Silhouette of mantises during second mating attempt in dim light"
2度目の交尾が始まる瞬間。淡い光の中で浮かぶ影が、まるで命の舞のように幻想的でした。

なんと、2度目の交尾アタック開始。

後ろの影シルエットが、よけいに幻想的で素晴らしい

時間と空間でした。

交尾時間は、6時間超でした。

おそらく、3時間ほどで精子の受け渡しは終えていると思います。

なぜ、すぐに離れないのだろう?

カマキリのオスは、交尾後すぐに離れると

他のオスに精子を上書きされる可能性があります。

そのため、精子の競合(sperm competition)を防いでいると

思われます。

これをメイトガーディング行動と呼び、

カマキリでは特に「オオカマキリ」で多く観察されます。

目的は──

  • 他のオスの接近を防ぐ
  • メスの体内で自分の精子が確実に受精に使われるようにする

という“生存戦略上の延長戦”なのです。

離脱の瞬間──斜め下に舞う命のジャンプ

なぜ、オスはメスから逃げるのだろう。

1. メスに捕食されるリスクがあるため

カマキリは「性的共食い(sexual cannibalism)」で知られています。
特に栄養状態が悪いメスは、交尾後にオスを食べることがあります。

✔ メスにとって
→ オスを食べることで、産卵に必要な栄養を補える
→ より多くの卵を産める可能性が高くなる

✔ オスにとって
→ 食べられたら次のメスと交尾できない
→ 自身の生存が脅かされる

そのため、
オス = 「交尾は成功させたいが、食べられたくはない」
という強い本能があり、交尾後に一気に距離を取って逃げます。

"交尾を終えてジャンプの体勢に入るオオカマキリのオス | Male mantis preparing to jump away after mating"
生殖器を外し、ジャンプの体勢を整えるオス。命をかけた行為の後、わずかな間に次の行動へ移ります。

生殖器を外し、ゆっくりとカマをほどいて

足をジャンプへの体制にしています。


逃げ切れる確率は、どれくらいだろうか?

種によって違いますが、おおまかに次のような傾向があります。

  • オオカマキリ(Tenodera aridifolia)
    10〜28% 前後
  • ハラビロカマキリ
    約10〜20%
  • チョウセンカマキリ
    20〜30%

つまり裏を返せば…

👉 約70〜90% のオスは“食べられずに生き残る”
ということになります。

(※もちろん飼育環境やメスの空腹具合で大きく変動します)

"飛び立つ前に周囲を確認するオオカマキリのオス | Male mantis checking surroundings before flight after mating"
飛び立つ直前、一瞬だけ周囲を確認する慎重なオス。その目には生存への本能が宿っていました。

オスは、一度飛ぶ方向を安全か一瞬だけ見ました。

そして、メスの方をみてメスが振り返ったその時に。


100匹オスがいたら、何匹逃げきれるかな?

共食い率を 20%(平均的な値) として計算すると…

100匹中の生存数

  • 捕食されるオス:20匹
  • 逃げ切るオス:80匹

共食い率を低めにすると…

共食い率10%の場合

90匹が逃げ切る

高めにすると…

共食い率30%の場合

70匹が逃げ切る

"翅を羽ばたかせてメスから離れるオオカマキリのオス | Male mantis flapping wings to escape from female after mating"
翅を広げ、素早くメスの元を離れるオス。まるで忍者のような動きで命の危機を回避しました。

翅を羽ばたかせて、足をジャンプさせて

素早く離れました。


飼育下だと、共食いは増える可能性があるよ。

  • メスが空腹
  • ケージが狭く逃げ場がない
  • オスの逃走が遅い
    などで共食い率は上がります。

野外では、オスは俊敏に飛んで逃げるため、
**研究者も「野外のほうが生存率は高い」**と考えています。

"メスのカマがわずかに開き、逃げたオスを見送る瞬間 | Female mantis slightly opening forelegs as the male escapes after mating"
オスの脱出を見送るメスの姿。わずかに開いたカマが、命がけのドラマの終幕を物語っていました。

少しだけ、メスのカマが開いていました。

オスの逃げていく、忍者のように離れる瞬間、

逃亡すると言っていい程の姿が

命がけの交尾アタックを

物語っていて

笑えました。

オオカマキリのオスがメスとの交尾からの、脱出


まとめ

命を燃やし尽くすように交尾を終え、

朝の光の中に消えていったオス。

それは“本能”という言葉だけでは片づけられない、

命の物語でした。

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