こんにちは。
まじかで、初めて枯れ葉と見間違えるほどの
蝶を見かけました。
驚きと感動をお伝えしますね。
🦋 はじめに:枯葉のような蝶との出会い
秋が深まりはじめた10月初旬、
宮崎県小林市の竹藪のそばで、
まるで枯葉がひらりと舞うような蝶を見つけました。
それが「コノハチョウ(Kallima inachus japonica)」。

翅を閉じると完全に枯葉そっくりになる、
不思議な蝶です。
一度見失うと、もうどこにいるのか分からないくらいです。
🍂 発見した環境と行動
見つけたのは、
家の横の小竹が密集した日陰の一角でした。
上は竹の葉が覆い、
下には枯葉が積もり、少し湿り気を感じる場所です。
ツバキの枝も重なっていて、
昼間でもひんやりと静か。
まさにコノハチョウが安心して過ごせる
“自然の越冬ハウス”でした。
発見した日は2匹が同じ場所にいて、
翌日には一度離れたものの、
数日後に再び戻ってきました。
この行動からも、
ペアで同じ環境を選んでいることが分かります。
🦋 オスとメスの違いを比較
閉じた翅の模様はそっくりですが、表面にははっきりとした違いがあります。
オスの表裏の、翅の模様です。


メスの表裏の、翅の模様です。


| 特徴 | オス | メス |
|---|---|---|
| オレンジ帯 | 細く鋭く、黒地とのコントラストが強い | 太く柔らかい橙色で境界がぼやける |
| 地色 | 青みが強い黒 | 赤みがある焦げ茶色 |
| 翅の形 | 前翅が尖りスリム | 丸みがあり柔らかい印象 |
| 行動 | よく飛び回り、活発 | 静止が多く落ち着いている |
🍊 果汁を吸う貴重な瞬間
3週間の観察の中で、ある日ついにオレンジを吸う瞬間を撮影できました。

🍊 つぶしたオレンジに口吻を伸ばし、果汁を吸う姿。
コノハチョウは主に樹液や果汁を吸いますが、
飼育下で果物を吸う様子を観察できるのはまれです。
もう1匹の個体は吸汁しませんでしたが、
それも性差による違い(オスの方が吸汁行動が活発)と考えられます。
🏕 飼育環境と観察方法
- 黒い網のゲージ(風通し良く落ち着く色)
- 天井に黒いボード、側面に遮光板を1枚設置
- 霧吹きで1日1〜2回の水分補給
- 果汁(オレンジ、バナナ+蜂蜜)を小皿にセット
この環境で2匹は落ち着いて過ごし、
健康な状態を維持。
飼育下でも自然のリズムに近い
「秋の休眠モード」を保てています。
❄️ 越冬に向けて
コノハチョウは秋型成虫がそのまま成虫で越冬します。
多くのメスはすでに産卵を終えており、
このペアは越冬個体として竹藪の陰を選んだと考えられます。
冬には動かずじっと葉の裏や枯葉の間で過ごし、
春の3月ごろになると
再び活動を始めて次の世代へ命をつなぎます。
📸 まとめ:枯葉の蝶が教えてくれた秋の静けさ
オスは飛び、メスは寄り添い、
果汁を吸う瞬間には
季節の終わりを感じました。
宮崎県の山あいにも、
こんな小さな命の物語が息づいています。
来春、またこの場所でふたりの姿を
見つけられるかもしれません。