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ジョロウグモの足の秘密 ― モジャモジャ毛と3本の爪が糸の上を歩ける理由

こんにちは。

世の中には、いろいろな種類のクモがいます。網を張るのが得意なクモや

土の中や地蜘蛛のように糸の袋の中にいたり、糸をいろんな工夫で使いこなして

生活しています。

網を張って真ん中に止まっているのに、どうやって網の上を移動したり

掴まっているのだろうと思いました。

巣の中央で脚を広げて止まるジョロウグモのメス。黄色と黒の模様が特徴の腹部と長い脚が見える。
巣の上で静かに待機するジョロウグモのメス。長い脚と黄色と黒の体模様が特徴で、捕獲糸の中心に体を固定して獲物を待ち構えている様子がわかる。


このモジャモジャ毛の役割とは

これは、ジョロウグモのメスの関節部です。

たくさんの黒い毛がモジャモジャと生えています。これは、セタと呼ばれる感覚毛があり

これがクモの五感をになっています。

ジョロウグモの脚の節部に生える感覚毛(セタ)と長い棘状の突起を拡大撮影したマクロ写真
ジョロウグモの脚の関節部には、振動や風圧を感じ取る感覚毛(セタ)と、獲物を逃がさないための棘状の突起が生えている。近接撮影でその精巧な構造がよく分かる。

このモジャモジャ毛は、

空気の流れ、風圧を感知して捕食者の接近や獲物の振動を察知します。

そして、オスや獲物の匂いを読み取ったり糸の張力を判断します。

クモは視力があまり良くない種類が多いため、

視覚よりこの毛が情報収集の目になっています。

ところどころにある長いトゲ状の突起とは

これは、短いモジャモジャ毛とは違い役割が違います。

網にかかった昆虫が暴れても捕らえることができる滑り止めです。

そして、不安定な網の上でもバランスを保つ役割があります。

ジョロウグモは大型の網を張り、しっかりと獲物を押さえる必要があるため、

このトゲはグリップの爪のような役割を果たしています。


足先の3本の爪とは

これは、クモのタルサルクローという器官です。

ジョロウグモなど多くの網を張るクモは、通常 3本の爪 を持っています。

外側の2本 が 網糸に引っ掛ける爪で、中央の1本 が粘着のない糸を掴む専用爪です。

写真を見ると、爪が湾曲し、先端が鋭くなっていますね。

これは糸に引っ掛かるように作られた爪なのですね。

ジョロウグモの足先にある3本の鉤爪が糸を掴んでいる様子を拡大撮影したマクロ写真
ジョロウグモの足先には3本の鉤爪(タルサルクロー)が備わり、粘着性のない糸を正確に掴んで巣の上を移動できる。爪が湾曲し、糸に引っ掛かるように進化した構造がよくわかる。

ジョロウグモが歩く糸そのものの構造や、2本の糸の違いについては、別記事「ジョロウグモのお尻から糸が出る仕組み」で詳しく解説しています。

この爪の役割とは

ジョロウグモは巣全体が粘着質な糸ではありません。

走行糸(ラジアル糸)は、移動に使用する糸で、捕獲糸(らせん状)は獲物を捕まえるネバネバの粘着性の糸で

出来ているのです。

クモは粘着のない糸を爪で掴んで歩くため、自分の糸に絡まらないのです。

巣を張るときの糸は

爪で糸を引っ掛けながら張力を調整して、糸の角度を決めて新しい糸をお尻から引き出し枠に固定する

作業を行います。

クモは、手で編む職人なのですね。

下に落ちない落下防止

獲物を捕獲すると、獲物が暴れるので爪で糸を絡めて固定します。

この爪は、振動や風に揺られても落ちないという効果もあります。


まとめ

クモの関節部に生えているモジャモジャ毛は、敵や獲物などのわずかな振動や風圧を

感知するためのものです。

足先の爪は、糸を引っ掛けるためのものです。

クモはこの爪のおかげで自分の巣に絡まらず、糸を操り、歩き、狩りができています。

クモの足は、これらの素晴らしい能力を使いこなして

この厳しい自然を生き抜いているのですね。

ここまで、読んでくださってありがとうございます。

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