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迷い込んだセグロアシナガバチの女王 ― 11月の夜に訪れた小さな来訪者の記録

11月24日の夜7時ごろ。
お風呂に、入ろうと中に行くと浴槽に1匹の蜂がいました。

「こんな時期にまだ蜂がいるのだろうか?」
そう思って見てみると、そこにいたのは、ひと回り大きなアシナガバチ。

壁は、湿気で濡れていました。お風呂場のタイルの壁から滑り落ちては登りの繰り返しで、少し弱っていました。
よく見ると セグロアシナガバチの女王蜂 でした。

お風呂場の壁で滑り落ちながら弱っていたセグロアシナガバチの新女王蜂の姿
湿気のある浴室で何度も滑り落ち、弱っていたセグロアシナガバチの新女王。越冬場所を探して迷い込んできた直後の姿です。与えた蜂蜜水を食べる様子。

この季節、働き蜂たちはすでにほとんど姿を消し、
生き残っているのは 翌年の営巣を担う“新女王”だけ

なぜ彼女は我が家に迷い込んだのだろう?
寒いのに、なぜまだ生きているのだろうか?
そして、この蜂はどうやって冬を越すのだろうか?

最初は、放っておこうと思いましたが小さいプラスチックのケースの中に
保護してあげようと捕獲しました。


🐝 お風呂場に迷い込んできた“新女王”との出会い

11月下旬の夜、暖房の入った家の中は外よりも温かく、
蜂たちが誤って行動を再開してしまうことがあります。

今回の個体もその1匹。

蜂蜜水を飲んだ後、前足をグルーミングする新女王蜂の顔のアップの姿。
蜂蜜水を飲んだ後、前足をグルーミングしている姿です。

弱った様子もなく、前足をグルーミングし、蜂蜜もよく飲みます。
結構、綺麗好きなのかグルーミングしまくっていました。


🐝 セグロアシナガバチの女王が11月にまだ生きている理由

🟡 働き蜂は死に、女王だけが生き残る

アシナガバチのコロニーは秋で活動を終えます。
11月になると働き蜂は寿命を迎え、巣は完全に放棄されます。

生き残るのは 翌年に巣づくりを開始する新女王のみ


🟡 新女王は冬眠前に“甘いもの”を探す

動きが少しだけ弱っていましたので、コットンに蜂蜜水を
ふくませて与えました。

越冬前のエネルギー補給として蜂蜜を吸うセグロアシナガバチの新女王蜂
冬眠前のエネルギー補給として、少量の蜂蜜をゆっくりと吸う新女王蜂。越冬の準備行動のひとつです。

蜂蜜をよく飲んだのは、
まさに冬眠前の準備行動でした。


🟡 暖かい空気に誘われて室内へ

室外は急激に冷え込む一方、
風呂場のボイラー・換気扇付近は外より暖かくなりがち。

そのため:

  • 換気扇の隙間
  • ボイラー周辺の温かい空気
  • 建物の外壁の小さな隙間

こうした場所から 誤って室内に入るケースは実はよくあります。


🐝 越冬(冬眠)する女王蜂のしくみ

アシナガバチの女王は、冬の間ほとんど動きません。

  • 呼吸がゆっくり
  • 代謝を落として体力を温存
  • 暗くて乾燥した場所でじっとする

これは昆虫の“休眠”と呼ばれますが、一般的には 冬眠 で問題ありません。

ケース内で落ち着き越冬態勢に入ったセグロアシナガバチの新女王蜂
ペーパータオルの上で静かに体を休め、越冬体勢に入った新女王蜂。安全な環境を見つけた証拠でもあります。

自然界の越冬場所は:

  • 物置の隙間
  • 木の皮の裏
  • 屋根裏
  • 枯れ葉の下
  • ベランダの植木鉢の影

など、人に気づかれにくい狭い場所です。


🐝 ケース内で越冬させる方法(実践記録)

外は、夜は7℃ぐらいまで下がっていましたので、
逃がしても弱ってしまうと思い小さいケースで
冬眠できないかと思い保護しました。

✔ ケース内のセット内容

  • 乾いたペーパータオル
  • 蜂蜜をしみ込ませた球状のコットン(半滴だけ)
  • 通気孔
  • 隠れるための小さな段ボール片
  • 室内の寒い場所(玄関のすみ)で保管

これだけで、越冬は可能です。

女王蜂はすぐに落ち着き、ゆっくりグルーミングを続けました。

触覚をグルーミングしながら体力を回復するセグロアシナガバチの新女王蜂
落ち着きを取り戻し、触覚を丁寧にグルーミングする新女王蜂。体力が戻りつつある様子がよくわかります。

🐝 今回の観察からわかったこと(まとめ)

  • 11月下旬でも女王蜂は生きている
  • 働き蜂はすでに全滅している時期
  • 蜂蜜を飲むのは越冬前のサイン
  • 暖かい空気に誘われて室内に侵入することがある
  • 小さなケースでも安全に越冬させられる
  • 女王蜂は温和で攻撃性が低い

🐝 最後に ― 小さな命に冬の安らぎを

寒い外をさまよい、
偶然わたしの家に迷い込んできたセグロアシナガバチの女王。

自然なら枯れ葉の下や木の皮に隠れて越冬するはずの命が、
いま温かいケースの中で、静かに春を待っています。

昆虫たちの季節の営みは、
人間の生活のすぐそばでも確かに息づいているのだと、
改めて感じさせられる出来事でした。

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