アントワープの聖母大聖堂の主祭壇を飾る、
ペーテル・パウル・ルーベンスの《聖母被昇天》。
キリストの母マリアが天へと昇る瞬間を描いたこの絵は、
バロック芸術の頂点とも称されます。

提供元:shutterstock カメラマン:Isogood_patrick
天から降り注ぐ光、舞い上がる天使たち、
そして祈りを捧げる人々――
全体が音楽のように響き合い、
見る者を包み込むような優雅な輝きを放ちます。
それは「神の愛」と「母の慈悲」が交錯する、
ルーベンス晩年の傑作です。
中央の構図 ― 天へ昇るマリア
白と青の衣に身を包み、
両腕を広げて天へ昇る聖母マリア。
彼女の周囲を囲む無数の天使たちは、
喜びに満ちた表情で光の中を舞っています。
マリアの顔には恐れや悲しみではなく、
穏やかな確信と信仰の静けさが宿っています。
ルーベンスはここで、
「死を超えた生命の希望」を見事に表現しました。
下部 ― 地上の信徒たち
地上では、十二使徒たちがマリアの棺を囲み、
天を見上げています。
彼らの手には花があり、
棺からは甘い香りが漂っている――これは「聖母の奇跡」を
象徴する伝承です。
上昇するマリアと地上の人々との視線の交差によって、
天と地のつながりが描かれています。
光の象徴 ― 神の恩寵
画面全体を包む黄金の光は、
神の恩寵を意味します。
光は上からではなく、マリア自身から放たれており、
「彼女が神の光を受け継いだ存在」であることを示しています。
✝️テーマと象徴
- 青と白の衣:純潔・信仰・天上の慈愛
- 天使たちの群れ:神の祝福と喜び
- 上昇する構図:地上から天界への霊的旅路
- 黄金の光:神の永遠性と救い
🌟まとめ
《聖母被昇天》は、悲しみや苦悩を超えた
「永遠の安らぎ」を描いた作品です。
ルーベンスは、静かな光と柔らかな動きによって
「神と人の調和」を見事に表現しました。
この祭壇画の前に立つと、
まるで音楽が聞こえてくるような、
天上の静けさと温かさに
包まれる感覚を覚えます。
それこそが、ルーベンスが描いた
“信仰の歓び”そのものです。