令和7年11月5日。
飼育していたカマキリたちが次々とその一生を終え、
今は一匹のオスのオオカマキリのオスだけが
生きています。

エサを与えても、ゆっくりと噛むその姿は、
まるで秋の終わりを告げ、なにか寂しい悲しいものです。
体の色は深い茶褐色に変わり、
目の輝きも黒く沈み、
動きも少しずつ鈍くなっています。
それでも、命の灯を消さぬように、
小さな体で最後の時間を生き抜こうとしていました――。
1. 老化の兆し
最近では、獲物を与えても反応が遅く、
噛む力も弱まってきました。

目の色は黒く沈み、
じっと一点を見つめるような表情を見せています。
それでも、ケースの中では無駄なエネルギーを
使わないように微動だにせず
じっとしています。
🦗なぜ目が黒く沈むのか、体が弱っていくのか
老化が進んだカマキリは、複眼の視細胞が機能を失い、
光を感じる力が弱まることで、目が黒く濁ったような色になります。
また、体の代謝が落ち、外骨格が乾燥していくため、
体色も深い茶褐色へと変化します。
さらに、エネルギーを作る力がほとんど残っていないため、
動きはゆっくりとなり、餌を噛む力も弱くなります。
カマキリは一年生の昆虫であり、
秋の終わりに寿命を迎えるよう生理的にプログラムされています。

晩秋の老化は自然の流れなのです。
2. 命の終わりを受け入れる
自然界では、
冬の訪れとともに多くのカマキリが命を終えます。

飼育下にあっても、
その流れは変わりません。
静かにその命の終わりを見届けるだけです。
🌾締めの言葉
最後の一匹となったオオカマキリ。
そのゆっくりとした動きの中に、
確かな「生」の光がまだ残っていました。
命の終わりは哀しみではなく、
「生きた証」。
季節が巡り、また来年、
草むらに新しい命が現れることを願いながら――
静かな秋の終わりを、
私はこの小さな命とともに過ごしています。