茄子の植えてある畑の茄子の幹にいるところを
発見して自宅で幼虫が蛹になり
羽化をまって観察した記事を紹介します。

令和7年
8月13日の夜23時半ごろでした。
蛹が割れているのを発見。
染みは羽化液(余分な血リンパや老廃物)と思われます。
午後8時ごろに見た時には
まだ、蛹の状態でした。
羽化するところを撮りたかったのですが羽化の兆候も見せず
いきなり暗闇で孤独に羽化していたんですね。
幼虫のころから非常に警戒心の強い感じはありました。

人の気配とか、少しの灯りでも羽化を遅らせていた感じでした。
やられました。
頭の方と足の割れ目あたりのお腹側の方が
割れていました。
周りには、茶色い液体がたくさん染み込んでいました。

少し明るくして、探すと
昆虫ゲージの天井にいました。
羽化直後のクロメンガタスズメは、
- 体内の余分な体液やガスを排出するため
- 腹部の筋肉を動かして呼吸を助けるため
- 翅の中に血リンパ(体液)を送り込むポンプ動作
として、お尻を「ぴくぴく」「うねうね」動かします。
この動きは羽や体の硬化が進むにつれて徐々に落ち着いてきますので、今は自然な羽化後の調整運動
おそらく羽を伸ばしやすいように登ったのかな。
その日は、そっとしておいて見守ろうとそのままでした。

これは、昨夜に天井ゲージにいた時にはありましたので
お尻から液体を飛ばしたものと思われます。
この写真に写っている白い飛び散りは、まさに羽化後に出す「蛹便(ようべん)」です。
クロメンガタスズメの場合、羽化後しばらく経ってから急に大量に排出することがあります。
特徴としては:
- 羽化後数時間~半日以内に排出される
- 白~乳白色で、水っぽいがやや粘性があることもある
- 乾くと黄白色の点々になる
- 蛹時代に体内に蓄積された代謝物や余分な水分

日がのぼった昼間の映像です。少し触るとお尻をぴくぴくさせて
羽を振動させて警戒します。怖がって昼間でも飛んだりしますので
羽の傷つきがないようにこれ以上の刺激はしませんでした。

なんとかマクロレンズで背中側の
ドクロのような模様をアップで見ました。
産毛のような毛も生えています。
ここで、この蛾のパートナーとの出会いを紹介します。
自然界でこのチョウ(あるいはガ)の成虫がパートナーに出会って子孫を残せる確率は、実はかなり低めです。
理由はいくつかあります。
🌿 出会いの条件
- 寿命の短さ
成虫の寿命は数日〜2週間程度と短く、その間にパートナーを探し交尾・産卵を終えなければなりません。 - 発生時期の一致
同じ種のオス・メスが、同じ時期・同じ地域で成虫になる必要があります。羽化のタイミングがずれると出会えません。 - 行動圏の広さ
オスはメスを探して広範囲を飛び回りますが、天候や捕食者により活動時間が制限されます。
📉 出会い確率の目安
- 昆虫全般では数%〜十数%程度しか交尾・産卵に成功しないとされます。
- 特に大型のガやチョウでは、羽化後の初夜に出会えなければ、そのまま一生出会えないケースも珍しくありません。
- 夜行性のガの場合、フェロモンを感知できる範囲にオスが来れば確率は上がりますが、それでも捕食や事故で命を落とす個体が多いです。
自然界では「完全体で羽化しても、子孫を残せるのは一部だけ」という厳しい現実があります。
そのため、羽化できただけでも既に「選ばれた少数」で、さらにパートナーに出会って繁殖できるのはその中のさらに一握りです。
お腹側も、模様がしっかりあって健康そうです。
羽化した夜と次の日の夜まで2夜ほどゲージの中で様子を見ました。
エサの蜂蜜水には、いっさい口にせずに
暗いゲージの中で飛び回っていました。
ほんの少しでも灯りがあると警戒心が非常に強く止まったまま
動きませんでした。

真っ暗にしないと警戒心が強いので
動きません。真っ暗にして
ナイトビジョンのカメラで
少しカメラの性能にも画像の写りが影響しますが
ご容赦ください。
令和7年
8月16日深夜の0時半ごろに
幼虫がとまっていた茄子の横で昆虫ゲージから
羽を振動させて、勢いよく夜の暗闇に
消えていきました。
幼虫から蛹化までの詳しい飼育の様子は、別記事の
クロメンガタスズメ幼虫から蛹化までの飼育記録
にまとめていますので、あわせてご覧ください。
まとめ
家庭菜園の茄子の幹にいた幼虫を持ち帰り
蛹から羽化、外の世界に飛び立つまでを
ほんの少しですが
見守りました。
成虫の寿命は約1週間から10日ほどらしいです。
限られた時間でパートナーに出会い
子孫を残せるといいです。
暗闇にキラキラ光る星と
三日月を眺めて
限られた時間の中で
外の世界でパートナーを探して
精一杯に生きて
好きな暗闇の世界を
感じて欲しいと願うばかりです。
クロメンガタスズメの羽化や生態に興味がある方の参考になれば幸いです。