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12月の藪ツバキに来る蜂は何者?|コハナバチ科の可能性が高い未同定個体を観察

こんにちは。

12月12日の、気温16℃前後の小春日和の午後に藪ツバキの花びらに数匹の

蜂が花の黄色い雄しべの中に頭を突っ込んで、

あっちこっち飛び回っているのが見られました。

満開の藪ツバキの花で花粉を集めるコハナバチ科の未同定個体(12月・小春日和の観察)
12月の小春日和、満開の藪ツバキの花に頭を突っ込み、雄しべの中で花粉を集めるコハナバチ科の未同定個体。越冬を前に、貴重な冬の花からエネルギーを得るために訪花している様子が見られた。

この時期に、ハチと思いながら調べたのですが、

コハナバチ科の種類らしいですが、たくさんありすぎて

未同定の個体もあるということです。

未同定とは

まだ、特定できていない。または、調べても断定的ではないということです。

いろんなものを照らし合わせながら、検証する時間を要するのですね。


ハチ目・ハナバチ類(コハナバチ科の可能性が高い未同定種)

最終確認

胴の部分の付け根から上の、2本の横線が確認できませんでした。

ハチ目・ハナバチ類(コハナバチ科の可能性が高い未同定種)
宮崎県小林市・山間部/12月/ツバキ訪花
※既知種・大学資料とも形態不一致

ニッポンコハナバチは日本全国に広く分布しており、その分、地域や個体によって腹部の白い毛帯の幅や顔面の微細な毛の色などに変異が生じやすいとされています。

真ん中の横線が真ん中が切れているのが分かりますね。

藪ツバキの花内で観察されたコハナバチ科未同定個体の腹部。胴の付け根付近に見られる2本の横線を確認するための拡大写真
未同定確認のために撮影した拡大写真。藪ツバキの花の中で花粉を集めるコハナバチ科未同定個体の腹部を写しており、胴の付け根付近に見られる2本の横線(中央が途切れて見える形態)を検証する目的で記録した。


花粉を集める

頭から、花の奥までガシガシと潜り込むのはハナバチらしい行動です。

本格的な冬が来る前に、この時期に小春日和で満開になった藪ツバキのような貴重な冬の花から、

越冬のためのエネルギー源や春になってからの繁殖のための準備として、

最後の花粉や蜜を必死に集めているのですね。

藪ツバキの花に頭から潜り込み、花粉と蜜を集めるコハナバチ科未同定個体の採餌行動
満開の藪ツバキの花で、雄しべの奥まで頭を突っ込み、花粉と蜜を集めるコハナバチ科未同定個体。体全体を使って採餌する様子は、ハナバチ類らしい行動として観察された。

左右対称の白い模様

この白い部分は「模様(体色・毛)」が主体で、そこに「花粉が付着」しています。

つまり 白斑そのものは個体の形態的特徴 です。

顔面の白い模様は、コハナバチ科・ヒメハナバチ科 ではよく見られるということです。

それにしても、黒と白の模様がパンダのようで可愛らしいですね。

藪ツバキの花内で撮影したコハナバチ科未同定個体の顔の拡大写真。左右対称に見える白い模様が確認できる
藪ツバキの花の中で撮影した顔のアップ。コハナバチ科未同定個体の顔面には、左右対称の白い模様が見られ、これは体毛や体色による形態的特徴であり、その上に花粉が付着している様子も確認できる。

ハチとアブの違い

1. 触角(アンテナ)の形

ハチは 触角がしっかりと長く、途中で曲げたりします。これはハチの特徴です。

アブは 触角が非常に短くて目立ちません。少しだけ長めのもいますが(顔にポチッとついている程度です)。

2. 目(複眼)の大きさと配置

ハチは 目が頭の両脇にあり、顔全体を覆うほど巨大ではありません。これもハチの顔つきです。

アブは 種類にもよりますが、ハエの仲間なので目が非常に大きく、頭部のほとんどが目であるようなものが多いです。

3. 翅(はね)の数

ハチは 4枚あります(前翅と後翅が重なって見えることが多いです)。

アブは ハエの仲間なので、2枚しかありません。

藪ツバキの花で撮影したコハナバチ科未同定個体。長い触角、ハチ特有の目の大きさ、前翅と後翅の4枚構造が確認できる
ハチとアブの違いを説明するための参考写真。コハナバチ科未同定個体では、しっかりと長い触角、頭部の両側に配置されたハチ特有の複眼、前翅と後翅の計4枚の翅が確認でき、ハエの仲間であるアブ類との形態的な違いが分かる。

まとめ

12月、満開の藪ツバキに、小さな訪問者が

越冬の準備をするために

小春日和の午後、ほんの数時間だけ姿を現しました。

花の奥から花粉まみれで、顔を出す姿は

一生懸命さと可愛らしさが

微笑ましいですね。

ここまで、読んでくださってありがとうございます。

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